節目を迎えて
満月の夜は、静かに節目を感じさせてくれます。
この半年、いくつものことを整理し、手放してきました。
来年定年を迎える伴侶は、最後の大仕事を終え、次の仕事も決まり、
ひとつの節目を乗り越えつつあります。
そして、私自身も来年還暦を迎えるにあたり、改めて、
これからの時間を、どこにどう使いたいのか、見つめ直しています。
その思いをたどると、やはり行き着くのは、自分の育ったまち―足利。
今、そこに少しずつ、自分の経験を還していく時期に入ったのだと感じています。
人生における私のこだわり
私の人生を振り返ると、構想を描き、形にしていく“企画力”と、
これまでにないことへ挑む姿勢―その両方にこだわってきたと感じます。
新卒で文系女性総合職第1号として入社した飛島建設では、
都市開発プロジェクトのマネジメントを手掛けました。
退社し東京に戻った後の選択は、
子どもの頃に漠然と考えていたアメリカではなく
中国への留学。
留学中にはシルクロード陸路の旅を実現することができました。
大陸が地続きであること、文化が移り変わる様子を体感した得難い旅でした。
また、北京で観て惚れ込んだ演劇作品「非常麻将」を日本に招聘。
さらに自ら3年に渡るプロジェクトの助成金を申請し、
日中舞台芸術の分野でそれまでなかった交流チャネルを築き、
上演やワークショップ、座談会を実施しました。
人の学びを引き出す企画
この数年は、文部科学省委託事業として日本語教育学会が主催する
「日本語教師【中堅】研修(JCN研修)」の
アドバイザーを務めると共に、プログラム運営委員として、
研修の在り方そのものを考えてきました。
教師自身が問いを立て、学び続ける姿勢を支える。
そのプロセスは、人を育てるとは何か、
教師はどうあるべきかを考える時間でもありました。
ファシリテーションを通じて学びを引き出す―
それは、以前から私の中に息づいていたもの。
今、時代の流れと静かに重なり始めていることを感じています。
育成とは単に知識やスキルの伝達ではなく、
“共に育つ関係性”をどう築くか―そのための場づくりが重要です。
これは、外国人社員、若手社員、
さまざまなキャリア、価値観をもつ地域の人々など、
異なる立場の人々と向き合う場でも同じだと感じます。
対等な立場で、共に学ぶ
対等な立場で、相手を尊重し、
考えに耳を傾けながら、学びに寄り添う―
それは、自分自身が子どものころから求めていた学びの場。
安心して自分の考えを他者と共有し、共に学び合う場です。
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”育ちあう場”を形にしたい
いま、地域と個人、
2つの軸から“育ち合う場”を形にできないかと考えています。
ひとつは、世代や文化を超えて支え合う地域の輪。
もうひとつは、日本で働くことを通じて自らの力を磨こうとする人々の学びの輪。
それらが、やがて静かに交わっていく―そんな未来を思い描いています。
満ちた月の光のもと、心の奥底で噛みしめる“手放すこと”の意味。
それは終わりではなく、次の世代が自分の光を見つけるための空間を開けること。
満月の光を浴びながら、静かな達成感とともに、
新しい“始まりの光”を確かに感じています。

