なぜ“優秀なはずの人材”が、職場で活かされないのか? ─ 採用後に起きるギャップとは?

2025年6月8日公開

こうしたケースで重要なのは、スキルや語学力そのものではなく、

・「何を求められているのか」を理解できていない
・キャリア感や職業観が言語化できていない
・日本語の表面上の理解ではなく“使い方”や“距離感”の理解不足

といった、認知や価値観のズレです。

とくに敬語については、
「社会人として敬語を使えなければならない」という思い込みが強すぎて、
むしろ話しかけられなくなる──そんな本末転倒の事例もあります。
一生懸命使おうとすると、どこかチグハグ・・・

 ある日、日本に来てまだ間もないN3レベルの外国籍社員がマンツーマン研修に遅刻してきました。

—— 「先生、大変申し訳ございません」

と深々と頭を下げる姿。
あなたなら、どう感じますか?
どこか違和感を覚えませんか?

「知る」「わかる」「使える」は違うのです。

また、業務に関しても、
「学校で学んだこと」と「現場で求められること」が大きく異なることに戸惑い、
指示を受けても意図を理解できなかったり、
確認をせずに自己判断で進めてしまったりする場面も見られます。

—— 「あれ、期待していたのとちょっと違う?」
—— 「こんなこともできないの?」
—— 「教えていたら自分の仕事が滞ってしまう。自分でやった方が早い……」

OJT担当者のこんな声が、現場で聞こえてきます。

こうしたズレは、単なるOJTや日本語教育だけでは解消できません。

重要なのは、

・なぜそのような反応になるのかを“構造的”に捉えること
・本人が気づきを得て、自らの行動を調整していけるように支援すること
・組織側も「育成の視点」を持つこと

このような視点でのサポートが必要です。

私が提供している研修では、実際の困りごとや場面を共有しながら、
言語・文化・キャリアの3つの軸を統合し「どこにズレがあるのか」を可視化し、
本人と企業の双方が理解し合える状態をつくっていきます。

・「語学力があるから大丈夫」と思っていたら、現場でつまずいていた
・指導する側が「なぜ通じないのか」がわからない
・本人はやる気があるのに、評価されずに自信を失っている

外国人社員の活躍の第一歩は、「誤解のない出発点」をつくることです。